『モー娘。の1番になるけん!』

writer_toro2004-10-17

煙草を買うついでに夜明け前に散歩に出かけた。
10月の、暗闇と静寂が支配する街を闊歩していると忘れがたい2つの記憶が蘇ってくる。

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ひとつは大学受験時代、この時期はよく深夜に勉強していた。息抜きにコンビニへ行くのがたまらなく好きだった。菓子パンと缶コーヒーを買いそれを頬張りながら家路に着く。行儀が悪くたって誰もいやしない。細やかな「自由」を感じられる貴重な時間だった。そして一人つぶやく。「きっと朝は来る」。自分の境遇を「夜明け前」に重ね合わせてもいた。

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二つ目はちょうど5年前。東京テレポート駅前で行われた台湾震災募金。そこで初めてモーニング娘。に対面した。奮発して1000円を募金箱に納め、後藤真希市井紗耶香保田圭、そして中澤裕子と握手をした。『LOVEマシーン』をリリースした翌月だったが、集まったのは1000人にも満たなかったと記憶している。たまたまその場に居合わせた人も結構いたと思う。ボクも熱心なファンなどではなく、たまたまネットで開催を知ったため興味本位で参加した。


ただ、あの光景だけは鮮明に覚えている。夜の暗さ。ライトアップされたステージ。一斉にフラッシュを焚くメディアのカメラ。ガード役のダークスーツの男たち。そして関係者と勘違いし、市井紗耶香が帰り際にボクに言った「オツカレサマデシタ」――。


あの晩からボクにとっての「モーニング娘。」は“走り出した”。「これから何かが起こる。彼女たちが起こす」。確信めいたものを感じた。静かに、ただ確実にモーニング娘。という太陽が昇りつつあった。「夜明け前」だった。

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夜明け前の胸の高鳴りもモーニング娘。の大きな魅力の一つだと思う。新曲が初オンエアされる前。コンサートツアーの初日前夜。新メンバー決定の直前・・・。「これから何かが始まる」というときが一番モーニング娘。らしくステキだ。ガッカリすることや悲しくなることは多いけれど、それでもやっぱりドキドキしたい。モーニング娘。には「夜明け前」がよく似合う。







スポニチ隔週企画記事「Hello!ハロプロ 田中れいな」(10/16付)

「いつか自分が1番になれたらって思います。田中=モーニング娘。といわれるぐらいになりたいって思う」

おぉ。あなたこそモーニング娘。の「夜明け前」だ。ガンバレー。