内閣改造とモーニング娘。

writer_toro2004-09-29

「サプライズがないことがサプライズ」
読売新聞と毎日新聞を読んでいて全く同じ表現に出くわした。
もちろん第2次小泉改造内閣のこと。だが他人事には思えなかった。


「サプライズ」はこれまでモーニング娘。の“専売特許”でもあったからだ。
あえて例をあげる必要もないでしょう。

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「大衆は常に新鮮な驚きを求めている。そして目新しいものに対し異常に弱い」


こいつは嘘っぱちだと思う。
少なくとも2000年のITバブル崩壊以降、得体の知れないものに警戒心や不信感を持っている。
(ゆえに『LOVEマシーン』のヒットは99年でしかありえなかった)
「サプライズ」はとうに飽きており、昨年では「お値打ちモノ」がブームになった。
大衆は2歩も3歩も先を行っている。
永田町で「サプライズ」が持て囃されたのはそれだけ“遅れていた世界”だったということ。
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今、大衆は何を望んでいるのか。


「身近なものの革新と再発見」という仮説がある。


「新三種の神器」と言われる薄型テレビ・DVDレコーダー・デジカメはテレビ、ビデオ、カメラが技術革新を遂げたもので、既に家庭に居場所があった種のものだ。


「冬ソナ」も誤解を恐れずに言えば、日本独自の文化である「少女マンガ」のドラマ版。冬ソナの熱狂的ファンは30〜40代の女性と言われるが少女マンガを熱心に読んだ世代で、彼女たちにとっては「新鮮で懐かしく身近な存在」だった。


トリビア」など雑学ブームも何のことはない。既存の知識の知られざる一面を見せる「再発見」がキーワードになっている。一方で全く未知の知識を得ることにはそれほど旺盛ではない。


要するに、人々は冒険なんて求めてはいない。身近なものの「リメイク」を欲している。
「サプライズ」は必要なかった。その点を踏まえていたのが今回の小泉人事であったと思う。

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移り気な大衆にモーニング娘。があえて合わせる必要はないとも思うが、大衆の中にモーニング娘。の“居場所”があるとするならば、娘。そのものを“リメイク”してみてはどうだろうか。「お得感」「スポコン精神」「歌謡集団」などの方向性は変えず、手法を変えてみる。「サプライズ」なんて時代遅れなことを狙わずに。新メン加入という恒例行事で「伝統」は大切にしつつ、求める人材や手法は大胆に変えてみて欲しいところです。